村上龍さんを偲ぶ
初めて読んだ小説は、中学生の時の「コバルト文庫」というライトノベルだった。
高校生になって他のものが読みたくなって、書店でたまたま手にとったのが、村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」だった。
タイトルに惹かれて読み始めたが、中身は透明どころかコバルト文庫の甘酸っぱい青春小説の真逆だった。
特に大きな出来事もなく、ドラッグ中毒に陥った若者の自堕落な生活が延々と描かれていた。
未知の世界に衝撃を受けながらも、主人公の世界観は美しいとさえ感じた。
自分でもわからない私の心の奥底を、鋭利なガラスのかけらでえぐられるような感覚だった。こんな小説を書いてみたいと思った。
次に村上龍さんと出会ったのは、42歳の時に観た「カンブリア宮殿」というテレビの経済番組だった。
毎回様々な業界のトップの人と対談するのだが、村上さんの質問の切り口がとても興味深く、毎回楽しみに観るようになった。
ふみ先生の文章講座の研究クラスに久々に参加させていただいて、あの「限りなく・・」を読んだ時の感覚が蘇った。
私の「書きたい」という原点はこれなのだ。



